天頂-TEPPEN-
DMM GAMESより、
天頂-TEPPEN-の感想コーナーです。
最近、すっかりゲーム形態の1ジャンルとして確立されたソーシャルゲーム。
手軽に始められることが大きな長所である反面、
目玉アイテムの当選率が極端に低い課金ガチャ、
長時間の繰り返しプレイを要求される限定イベントなど、
その実情には多くの問題もはらんでいます。
様々な問題点が挙げられるソシャゲ界において、
DMM GAMESは1つの大きな問題を抱えていました。
ソーシャルゲームに触れたことのある人は、
一度はこんなことを考えたことがあるでしょう。
「こんな手抜きのシナリオ、俺にだって書けるわ!」
オンラインゲームというのは、
定期的な更新によってシナリオやイベントが追加されるというのが通常ですが、
その追加スパンが短いソーシャルゲームにおいては、
クォリティよりも追加頻度そのものを要求される側面が強く、
「設定に沿ったストーリー作り」「伏線の回収」「キャラクターの一貫性」
といった本来お話を書く上で必要なものさえ度外視されることが多いのです。
その結果、ソシャゲ界隈では明らかに適当に書かれたシナリオが多く、
ことDMM GAMESにおいてはそれが顕著で、
近年では徐々に改善されているものの、数年前は惨憺たる有様でした。
そんな折に登場したのが、この『天頂』
とりあえず可愛い女の子出して適当に脱がしときゃそれでいいだろ?
的な風潮に、一瞬で風穴を開けました。
ストーリー開始10秒で現れるのがコイツ。
決して最初に倒す雑魚敵などではない。
彼は主人公の舎弟・野田英治。
れっきとしたメインキャラクターである。
ぬるいシナリオに慣れきっていたDMM GAMERSは、腰を抜かした。
舞台は架空の歓楽街、神武斗町(かぶとちょう)。
真っ昼間から銃声が響くのは日常茶飯事。
麻薬取引、臓器密売、人身売買…
様々な人間の欲望が渦巻く犯罪都市で、食い物にされるのは弱き人々。
地元の警察さえも匙を投げ、完全に腐敗している。
そんな汚れた社会の吹き溜まりの中にあっても、
自分を受け入れ育ててくれたこの町を愛し、変えていこうとする一人の男がいた。
昔気質の任侠ヤクザ・伊達の黒龍。
物語は、殺人未遂で投獄された彼が服役を終え、開放された場面から始まる。
という感じの龍が如くな世界観。
明らかに異色作なこの『天頂-TEPPEN-』 は、
その第一印象の強烈さゆえに、思いっきり人を選ぶタイトルになってしまった。
ところが少しストーリーを読み進めると、
これがただの色物ヤクザゲーでないことに気がつく。
「あれ…? 面白いぞ…?」
舞台が現代であることをうまく調理して、
社会問題をテーマに組み込んだストーリーテリング。
それでいてわかりやすく、窮屈さを感じさせないテキスト。
読み手が疲れないよう、適度に挟まれるユーモア。
そして伊達の黒龍の圧倒的な強さ、格好良さ。
何より、一番すごいのはイベントストーリーもちゃんと面白いということ。
上で書いたように、時間の制約が厳しいソーシャルゲーム業界において
”読ませる” ストーリーを定期的に配信する、というのは極めて難しいことです。
本編のストーリーがちゃんと書かれているようなゲームであっても、
イベントのシナリオは明らかに質が落ちるケースが大半。
しかし天頂のイベントシナリオはそんな手抜きを微塵も感じさせず、
それどころか本編の補完となるシナリオも数多く、作品全体の完成度を高めている。
黒龍の舎弟たちの努力と奮闘、成長の様子も見逃せません。
この露骨にモブ顔のチンピラが、
ストーリーを読み進めていくうちに読み手にとって愛しい存在になっていく。
このロリコンの俺をして、
一番好きなキャラが上のSS2枚の野郎どもというのが、
改めて異質なタイトルだなぁと思う。
そんな『天頂』も、今月31日でサービス終了。
諸行無常がソシャゲ界の常ですが、非常に残念です。
公開予定のメインストーリー最終章に期待を寄せつつも、
天頂が元気なうちにこの記事書きたかったなぁというのが無念。
ちなみに、サービス終了までにストーリーを9章まで読み進めると、
CG集が無料配布されるそうです(宣伝)
なんと、シナリオが全部読めるアプリが同梱されるとか。
天頂運営には足を向けて寝られないね…
※一般版とR18版があるのですが、
一度R18版にログインしておかないと、コードが届かないそうなのでご注意。